プロローグ
あなたには、消したい記憶があるだろうか?
忘れてしまいたいのにいつまでも頭に住み着いて消えてくれない、そんな記憶。
こんなこと考えた事ない?
『もし、この記憶が消せるなら…』
きっと、誰でも一度は考えた事あるかもしれないね。
それじゃあもし、その記憶を本当に消してしまえるとしたら?
「決意はついたか?」
しーんと静まりかえった部屋。誰かの息の音すら聞こえてきそうなその空気を肌に感じながら、俺はゆっくり頷いた。
「それでは、聞かせてもらおうか?お前の決断を」
凛とした彼女の声が部屋に響く。
一度ぎゅっと目を閉じ、自分の意志を改めて確かめてから顔を上げ、真っ直ぐ彼女を見据えた。
「…俺は」
俺は、『この記憶』をーーーーーーー…
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