invisible とは
[目には見えない、不可視の]

 かつて「私」は「透明人間」だった。
 本物の透明人間になれたらなら、もっと良かったのにと、何度も願った。
 「透明人間」だったら、誰も悲しませることなんて、なかったのにと悔やんだ。

 私はずっと「透明人間」になりたかった。

 けれどそれと同じくらい、"なにか"になりたかった。
 "なににも"なれない自分を何度も殺して、"なにか"になれたかのように、自分を作り上げて。

 でも、もういいんだ。
 私は「偽りの透明人間」のままで。

 "invisible"な私を見つけてくれたあなたに精一杯の感謝とおもてなしを。
 あなたの視界に生きていられる限り、「私」の吐き出したコンテンツを消費してもらえたら、それだけで報われる、中途半端な透明人間。

 呼び方はなんだっていい。
 見えている間だけは、名前を呼んでください。



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